今月のことば

 
 鐸 声
浄土宗新聞 令和7年9月号より転記
 ◆「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした大阪・関西万博が10月で幕を閉じる。「いのちとは何か」「私たちは何者か」を問いかける個性的なパビリオンが数多く登場した。「いのち」へのアブローチは、仏教にとっても欠かせない要素である。

 ◆逆説的に「死」を主題にした施設は多くないが、生物学者の福岡伸一氏がプロデューザーをつとめた「いのち動的平衡館」は出色だった。「死」を真正面から取り上げていたのだ。

 ◆福岡氏のメッセージはこうだ。いのちは有限である(必ず死が訪れる)。だからこそ、「いのちは輝く」のであり、死によって生命の循環がもたらされるという。

 ◆たとえば、私たちの肉体は細胞分裂を繰り返し、多くの細胞が死に、常に変化し続ける。ゆえに「今日の自分」と「明日の自分」とは別の存在といえる。これは、仏教のいう       「諸行無常(すべては常に移ろいゆく存在である)」「諸法無我(万物には実体がない)」の考え方そ のものといえる。

◆会期は残りわずか。「いのち」を学びに、万博に足を運んでみてはいかがだろう。
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