今月のことば |

今月のことば
「鐸 声」 |
浄土宗新聞 令和7年7月号より転記 |
◆地域によって1ヶ月のズレはあるが、いよいよお盆の月を迎える。盂蘭盆会は仏教の教理的には『盂蘭盆経』に基づくとされる
が、日本古来の祖霊信仰に基づく行事でもある。人は亡くなって死者になると、生者と関係を断つのではなく、故郷の近くの山上に留まり、子孫の生活を見守るとされる。 ◆仏教の極楽浄土も終の棲家ではなく、「還来穢国度人天」であるから、死者は穢国、つまりこの娑婆世界に還って、生者の救済という形で生者と関係を持つ。 ◆最近、是枝裕和監督の映画が気になっている。彼の作品には、仏壇・墓参・葬式・法事が頻出するが、私なりに分析すると、そこでは仏壇等を媒介として、生者は死者と出会い直し、自分の生を更新している。つまり、死者との出会い直しは自分自身を見つめ直す 機会であり、新たな生との出会い直しでもあるのだ。 ◆こうして日本人は、古くなった生を、身近な死者との出会い直しを通して更新し、また新たな気持ちで生き直してきたのだ。皆さんは今年のお盆、先立たれたどの方と、どのように出会い直しますか。 |
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