今月のことば

 
 鐸 声
浄土宗新聞 令和5年9月号より転記
 ◆大乗仏教の実践は菩薩の六波羅蜜である。布施・持戒・忍辱。精進・禅定・智慧の六つだ。他者に布施をし、戒律を保ち、苦難に耐え忍び、努力を怠らず、精神を集中して、智慧を獲得することを意味する。
 さてこの「波羅蜜」とはインドの言葉「パーラミター」を漢字で音写したものであり、その意味内容には違った二つの解釈がある。本来は「最高・完全・完成」を意味するが、「彼岸に(パーラム)に到った(イタ)」とも解釈され、「到彼岸」とも漢訳される。まさに六波羅蜜を実践することによって、彼岸(悟りの岸)に到るのである。
 ◆ただし仏教の理解や実践に乏しい我々凡夫がこの六波羅蜜を実践するのは極めて困難だ。どれ一つとっても、それを「最高」の状態で「完全」に実践し、菩薩行を「完成」させることはできない。そこで法然上人は念仏往生という新たな道を拓かれた。 
 ◆末法の世の我々凡夫はまず念仏をとなえて極楽浄土に往生し、往生してから六波羅蜜を実践する。難行だが、極楽は環境が抜群に整っているので、心配は要らない。お彼岸の今月、気持ちも新たに念仏に励もう。
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